炎に煌めくゲームレビュー

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【レビュー】NieR:Automata【感想】こだわりは一流だけど、作りは凡庸

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さて、今回レビューするのは「NieR:Automata」。


本作は、2017年2月23日にスクウェア・エニックスから発売されたRPGで、ニーアシリーズの最新作にあたる作品。開発にプラチナゲームズが参加しているのもポイントですね。


プレイ時間は30時間前後。ホーム時もプレイ時間に加算されてしまう仕様だったので、正確なプレイ時間は不明ですが多分このくらいだと思います。


ちなみにクエストは半分くらい(60%)、本編はEエンドまでは見ているので、普通にプレイしたらこの程度の時間になるのではないかと。

のゲームのポイント!・拘りを強く感じる、独自的なゲームデザイン
・美しくも儚い世界観。
・アクション面はあっさり気味な作り。

ゲームの特徴

本作の特徴としては、やはりアクション面でしょうか。


ブラチナゲームズが製作しているのもあり、操作性やアクションは同社のゲームと似た感じになっています。スピーディーで敵をサクサク倒せる感触は無双シリーズにも近い雰囲気かも。


難易度はアクションRPGとしてはかなり低め。基本的にプラチナゲームズのゲームは、ノーマルでも激ムズに感じるほどのゲームが多いのですが、本作はノーマルでもサクサク進めるほど簡単に感じました。


厳しく感じたのは、精々所々にあるシューティング要素くらい。なので、アクションRPGが苦手という人でも安心してプレイできるとは思います。


後はですね、とにかくゲーム性にこだわりを感じました。普通のゲームにはしない、個性を強く出していくぞ!という徹底的な拘り。


それ故か、アクションRPGなのにも関わらず、2Dや3Dのシューティング、ノベルゲーム、2Dアクションの要素など色々な工夫が盛り込まれています。

評価点

こだわりを感じるゲーム性

先に上げた通り、本作。アクションRPGながら様々なゲームジャンルを取り込んだような作品になっています。

例えば、冒頭ではいきなりシューティングが始まりますし、通常のバトルでも、ハッキングを介したミニゲームなどが都度発生。


ゲームとしてはゴチャっとしている感は否めない物の、これらの多様な要素によって、ゲーム体験は間違いなく濃くなっていると感じられたので、個性付けとしては良い工夫だったのではないかと思っています。


他にもアクション画面は唐突な視点の切り替わりによるアクションが発生したり、空中戦から地上戦の経過もロードなしで進行するなど、PS4というハードを存分に生かしたハイクオリティさも目立っていました。


加えて、これらのゲーム性の作り込みによって、ゲームでしか描写できないストーリー表現を実現させていたのが良かったですね。


昨今、様々なメディア媒体が存在するため、どんなにゲームのストーリーを作り込んだところで、そこだけに注力しすぎてしまうと映像だけでいいじゃん、


という印象を持たれてしまうこともあると思うんですが、本作の場合は、ゲームとしてどう表現するのかということに、注力されていました。

そこが、本作のストーリーが評価される一因でもあるのでしょう。

オリジナリティ溢れるストーリー

そんな今作のストーリーは、とにかく独特です。


主人公たちはアンドロイドということで、SF的な要素が強いのですが、対峙する相手がかなり不気味な演出が多く、ホラーのような描写も多め。


プレイしていてとにかくグサグサ心にささる描写が多いのですが、逆にそれによって作品により惹き込まれるような感覚もあり、何とも不思議でした。

いざプレイし終わって改めて振り返るとホラー描写よりも、切ない感じのゲームだったなぁという印象を受けるのも興味深い所です。


個人的には、2周目で敵の背景が明らかになっていく演出も好きでした。


ゲームとして倒していかざるを得ない敵にも、このような背景があって必死に生きているといった重々しい表現が突き刺さってくるんですよね。


こういう表現、他のゲームではあまり見ないので印象に残ります。


ただし、一部に関して明確に設定が明かされていない点もあるので、全て解説してもらわないとスッキリできない、という人には、少し物足りない点もあるかもしれません。

廃墟の雰囲気が素晴らしいフィールド

本作、エイリアン襲来により文明が崩壊した地球が舞台なため、全てのフィールドが廃墟となっています。そのためとにかく景観が美しい!


特に序盤から訪れることになる廃墟都市は緑に覆われているビルの廃墟と自然の混合がとても美しくプレイしていて実に良い雰囲気を味わえました。


動物なんかは普通に存在しているのも、いい味出しているんですよ。


無人で廃墟になった街を動物に乗って駆け巡るの、雰囲気あって楽しかったなあ。


その他にも遊園地から城、砂漠、水没都市等、色々な廃墟が存在するので、廃墟好きにはたまらない作品となっています。

いずれのフィールドも映えるカメラワークなポイントが存在しているので、それを探す楽しさもありました。


上の遊園地の画像、最高じゃないですか!?もう見ているだけでワクワクしてきます。

メインの保管にもなっているクエストの数々

今作、サブクエストが結構な数存在するのですが、これらのクエストはメインストーリーの保管や掘り下げとなっていたりするものも多く、ただでさえ質の良い、今作のストーリーをより楽しめるものとなっていました。


メインストーリー同様めちゃくちゃ後味の悪い物もあったり、相変わらず心がえぐられるものも多いのですが、中にはきれいな形で終わるクエストもあったりします。


個人的には森の城の辺境のクエストがとても印象的でした。


ただ一点、困ったのがこれらのサブクエストの期限が切れるタイミングが唐突すぎて、クリアできないものがいくつも存在していたことですね。


中にはやり終えたけど報告していなかったらそのまま期限が切れてしまった、なんて事もありました。

ストーリーの仕様上、それらの期限によって先の展開が読めるというのをなくしたかったのでしょうが、正直プレイしずらくて困ってしまった部分でもあります。

組み合わせを考えるのが楽しいプラグイン・チップシステム

今作には装備したチップによって、スタータスやアクションを強化できる「プラグイン・チップ」というシステムがあるのですが、これの組み合わせを考えるのも中々楽しかったです。


チップには様々な種類が存在しており、単純なスタータス強化からアイテム自動取得や経験値アップ、敵を倒したときにリカバリーするなど、便利なスキルが多いので、色々つけたくなるんですよね、


でも、最終的につけられるチップ数もそこまで多いわけではないので何をつけるかの取捨選択が楽しかった。

独特でこだわりを感じる音楽

作風と同じく、音楽もめちゃめちゃ拘りを感じました。


製作はシリーズ恒例の岡部啓一氏ですが、とにかく曲の幅が広い!


廃墟に併せた静かで心落ち着く曲から、氏らしいボーカル入りの曲など、場面に応じて様々な曲が用意されていました。


個人的に好きなのは廃墟都市で流れる「遣サレタ場所/ 斜光」。綺麗なピアノとボーカルがマッチしていて凄く落ち着くんですよ。


最初に来るマップというのもあって、BGMと共に景観を見た時には思わず、プレイする手を止めて聞き入ってしまいました。


後、「遊園施設」も凄かった。遊園地で流れる曲なんですが、あまりに異様すぎるステージの雰囲気を完璧に彩っていました。


あのマップ、単に不気味なだけでなく美しく、切ない雰囲気も感じられるのは、この曲の効果が大きいなと。

問題点

アクションの奥が浅い

本作、一番気になったのはアクション面です。確かに難易度が低くて、誰でも楽しめる調整にはなっていると思いますが、個人的にはそれ故に、底があまり深くないように感じてしまいました。

というのもですね、ゲーム調整として駆け引きが重視されていないため、数や固さによるごり押し的な要素が増えてきて、いずれも単調なんですよね。


敵の技を交わしたりすることによるメリットが薄いですし、何より回復薬が非常に安く、戦闘時にワンクリックで使用できるのもあって、適当にボタン連打で殴るのが最適になってしまっていた印象です。


終盤のボスに関しても、大量の弾幕を発射してきたり、周りに雑魚を大量に置いてきたり、面倒なだけであまり楽しさを感じられなかった。


プラチナゲームズのアクションはここら辺の駆け引きに秀でている作品が多いので、それもあって余計に単調に感じられてしまいました。

作りこみの甘いフィールド

今作、確かにフィールド各所の雰囲気はよくできているんですが、フィールド自体は作りこみが甘いと思いました。


オープンワールド気味なのもあって、広さだけはそれなりなんですがその割に、オブジェクトがあまりないため無駄にだだっ広く感じてしまうんですよ。


初見時の印象はいいんだけど、後述するポイントも併せて、段々と魅力が薄れてくるのが残念でした。

周回と噛み合っていないオープンワールド

本作、周回必須の内容となっていて、真エンドに到達するためには、2周同じ道をたどらなければならないのですが、この2周目、別キャラの視点という違いはある物の、後半までの展開に差があまりないんですよ。


そのため、間に通る必要のあるオープンワールド要素が、段々と邪魔に感じてしまいました。周回要素とオープンワールドは相性が悪いような?

まとめ

こんなところでしょうか。


今作独特のストーリーやこだわりのあるゲーム部分、音楽などは間違いなく、一流と呼べる仕上がりだったのかなという印象です。


しかし、一方でアクションRPGとしてみると全体的に中途半端な部分も多く、アクション要素やフィールドなんかのポイントはいまいちに感じました。


プラチナゲームズが関わっていたので、後者の感触を抱いたのは、当時ちょっと意外に感じたものです。


ただそうはいっても、芸術的とも呼べるゲーム表現は、間違いなく一見の価値があるとは思います。


興味がある人はプレイして見てはいかがでしょうか。